解説
1974年、トビー・フーパー監督によって生み出された映画『悪魔のいけにえ』とチェーンソーを片手に大暴れする殺人鬼レザーフェイス。
いくつもの実在の殺人鬼の要素を取り込む、更に何倍にも拡大させたレザーフェイスはその後のスプラッターホラーの殺人鬼キャラクターに大きな影響を与えました。
この映画はそのレザーフェイスがレザーフェイスとして覚醒するまでの姿を描きます。
昨年逝去した生みの親トビー・フーパー監督が製作に名を連ねているのも注目でこれが遺作となりました。ドラマの終盤まで誰がレザーフェイスとなるのかが語られず、その正体探しという楽しみもあります。
監督 ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロ
製作トビー・フーパー
原案 キム・ヘンケル トビー・フーパー
R18
ストーリー
ソーヤー家。その末子ジェディダイアの五歳の誕生日、プレゼントとして贈られたのは巨大なチェーンソーでした。
ジェディダイアはチェーンソーに拒絶感を示しますが、やがてその禍々しい凶器に手を付けます。その後、彼は異常な精神の持ち主で、サイコパス、殺人嗜好の気性を持つ長男、次兄とともに殺人とラップを仕掛けある少女を殺害します。
少女の父親のハートマン保安官は長男と次兄を逮捕末子ジュディダイアを精神病院に収容して強制的子どもたちと家族を切り離します。再婚して財産を手にした母親ヴァーナはジェディダイアを取り戻そうとしますが、病院と保安官の妨害され続けます。
そんなある日。病院に志願して転勤してきたリジーはそこで多くの収容された若者たちと出会います。好戦的なアイクやクラリス、自閉症気味の巨漢のバドなどなかなか心を開き話し合える相手がいませんが、その中で出会った青年ジャクソンとは比較的冷静なやり取りができました。
そんな中ヴァーナが病院の収容病棟に侵入し、混乱を起こします。病院内は大混乱となります。アイクやクラリス、バドは院長やスタッフに襲い掛かり脱走します。
途中で出会ったジャクソンとリジ―を人質にして5人となった逃亡者たちにハートマン保安官たちの追手が迫ります。
ジャクソンやリジーは何とかして脱走を図りますが、アイクとクラリスは銃を片手に二人を脅します。更に逃亡の途中でバドが負傷してしまいます。
一方ヴァーナと通じていた副保安官は脱走したメンバーの名前を伝えます。その中にあの今は名を変えているジェディダイアが含まれていました・・・。
レザーフェイスって何回登場?何人いるの?
『悪魔のいけにえ』とカウントされる映画は本作で8作目。本作の登場で34年目となります。まず1974年の元祖です。本名はババ・ソーヤー、見た目のごつさと裏腹に、家族の中では末っ子ということで家族によく叱られたりします。ジェイソンやフレディがシリーズを増すごとにスーパーナチュラルな存在になっていきますが、あくまでもレザーフェイスは少しばかりガタイのいい人間です。それから12年後に「2」が登場します。この「2」まではトビー・フーパーが監督していてまさしく正史と言っていいでしょう。この後、設定を微調整しながら一応オリジナルの流れを汲んだ「3レザーフェイス逆襲」「4レジェンド・オブ・レザーフェイス」が登場します。ここで流れがバッサリと切れてリメイク企画「テキサス・チェーンソー」2部作が登場します。この映画プロデューサーが大味大作映画監督してとしておなじみのマイケル・ベイということで非常に心配されました中ですが、思いのほか思いのほかのピリピリした遠慮のない残酷描写でオリジナル版のファンも納得の出来となりました。この二作品のレザーフェイスは本名トーマス・ヒューイットといって、それまでの4作品のババ・ソーヤーとは全く出自が違います。そして「飛び出す悪魔のいけにえレザーフェイス一家の逆襲」が登場。「2」以降の本筋、トーマス・ヒューイット路線のどちらもリセットされて、74年の続編として改めて始まった新シリーズでババ・ソーヤーの本名(?)がジェディダイアであることが分かってこのリブート“ババ”=ジェディダイア・ソーヤーが登場します。本作はその二作目にして前日譚となります。
カウントすると、オリジナルとパラレルのババ・ソーヤーがいてそれとは別にトーマス・ヒューイットがいます。2.5人のレザーフェイスが8本の映画に登場しているということになります。さて、次はどのような登場の仕方をするのでしょうか?