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ロボットの裏に隠された問題提起をしている『チャッピー』

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ニール・ブロンカム監督の作品『チャッピー』は2015年に公開された映画です。

ニール・ブロンカム監督といえば、『第9地区』で一躍有名になった監督です。

『第9地区』では人種差別をエイリアンを使って表現していました。

この『チャッピー』ではロボットを使ってまた違う問題提起をしています。

AIロボットは赤ちゃん

物語は巨悪犯罪を取り締まるために警官だけでは困難なので、ロボット警察を開発します。そのおかげでヨハネスブルグの犯罪は減っていくというところから始まります。

ロボット警察を作った開発者は単なるロボットではなくAIのロボットを作りたいと思っていますが、会社から反対されてしまいます。

そこで勝手にAIロボットを作るのですが、ギャングに盗まれてしまいます。

ここまで聞くとロボット映画のように感じてしまいますが、このAIロボットは起動した時は赤ちゃんと同じなのです。まだなんの知識もなく、言葉も話せません。

周りの人間が何を教えるかによってAIロボットの思考は決まってしまうのです。

このことをニール・ブロンカム監督は『チャッピー』を通して伝えたかったわけです。

子供は真っ白

AIロボットチャッピーのように人間は生まれた時はみんな真っ白なんだと監督は伝えたかったのです。

育て方によって、人格は出来上がってしまうのです。

だから何を教えるかが大切なのだと。

チャッピーはギャングに育てられるので、振る舞いもギャングのようになってしまいます。

しかも人間は自分と違うチャッピーをひどい目に合わせます。

するとチャッピーは次第に人間を憎み、攻撃的になってしまうのです。

それは言い換えると子供たちに、世界は怖い、憎いということを教えると世の中を憎みながら成長してしまうということです。

チャッピーは、ギャングですが愛情を持った女性に育てられ、優しい心も持っていました。その女性に優しく接してもらったおかげで、チャッピーは人間を愛し守るというようにもなるわけです。

育てられ方によって、人間はどんな風うにでもなってしまうというメッセージを「チャッピー」に込めていたのでした。

本当にニール・ブロンカム監督が作る映画は深い想いが込められた作品ばかりです。

「チャッピー」もその1つですので、この映画に込められた問題について向き合ってみるのも「チャッピー」の楽しみ方の1つだと思います。

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