映画の楽しみ方にも色々あります。私にとっては音楽もそのうちの1つです。今回は、私のお気に入りの音楽の中から、爽やかでしかしほろ苦い若者の青春を描いた邦画編をご紹介します。
●「ハイウェイ」くるり ー「ジョゼと虎と魚たち」(2003)
日本映画界では静かに、でも心に沁みるヒューマンドラマを描くことで有名な犬童一心監督の「ジョゼと虎と魚たち」のテーマソングです。妻夫木聡演じる主人公と池脇千鶴演じるヒロイン・ジョゼとの切ない恋を描いた作品です。劇中では、どこか童話のようで現実離れしているような二人の叶わない恋物語にロックバンド・くるりのこの曲が色を添えてくれます。恋愛を通して、またそれぞれ人生を歩んでいく二人を表現しているような曲です。春が来たような、新鮮な気持ちになります。ぜひ何か新しいことを始める時に聞いてもらいたい一曲です。
●「ドロップ」Thee Michelle Gun Elephant ー「青い春」(2002)
この映画は、松本大洋作の漫画「青い春」をベースにした不良少年たちの青春映画です。劇中では不良だらけの男子校を舞台にハードボイルドな青春と登場人物たちのどこが明日とも知れぬ不安や恐怖にかられる人間描写が描かれています。松田龍平演じる突如現れたクールな主人公・九條と新井浩文演じる青木の男の友情も必見です。そんな男気溢れる映画の劇中歌には、ロックバンド・Thee Michelle Gun Elephantの楽曲がたくさん盛り込まれています。不良たちの捨て身の青春と彼らの音楽が絶妙にマッチしています。スピード感溢れる楽曲が多い中でこの曲はちょっとスローペースですが、しかし力強い魂を感じるような曲になっています。ボーカルのチバユウスケのシャウトが特徴的な闘志みなぎる熱い一曲です。
●「タイムマシンにお願い」Browny Circus ー「下妻物語」(2004)
鬼才中島哲也監督による異色ガールズ青春映画、深田恭子演じるロリータの主人公・桃子と土屋アンナ演じる不良少女・イチゴとの友情、それぞれはみ出した者同士、さまざまなことに葛藤しながらも成長していく様子を描いた作品です。ぶっ飛んだ二人の個性的なキャラが濃く、異色な二人の掛け合いがなんともおかしくも素敵なストーリーです。またそれを飾る独特な映像のセンスも面白いです。そんなハチャメチャな二人の青春物語には、この曲がピッタリ合います。ポップで少しブラックジョークが混じる世界観にもマッチしています。元気が出ない時に是非聞いてもらいたい一曲です。