スペイン語圏映画といえばペドロ・アルモドバル監督なんかが有名ですが、日本にもコアなファンが多いかと思います。そんなスペイン語圏映画の最近気になった作品をご紹介します。
●「ダックシーズン」(2004)
まずこちらはメキシコ映画で監督はフェルナンド・エインビッケ。全編モノクロの本作、舞台はメキシコシティにある大規模な団地群の1室。留守番を任されたやんちゃな男の子フラマとモコが近所の女の子や宅配のピザ屋さんと退屈だったはずの日曜日の午後を変えていく。特に大きな事件が起きるわけでもないけれど、最後まで見入ってしまうのが不思議です。ほのぼのとお茶目な登場人物たちがついつい好きになってしまう。陽気で太陽の日差したっぷりなメキシコのイメージとは裏腹にこんなにのんびりとした日常もメキシコの1つの顔なんだと思います。休日のダラーとしたい日に見たい1本です。
●「マジカルガール」(2014)
スペインの若手の鬼才監督カルロス・ベルムトで大の日本好き。アニメから音楽まで日本の作品が好きな方です。そのせいなのか、映画の主人公アリシアも魔法少女ユキコのファンでいつかユキコのように着飾り歌って踊ることが夢なのです。白血病の彼女は余命わずか、それを知った父親は彼女の夢を叶えるために奮闘する。父親の希望は次第にある女性の人生までも狂わせていく。そして終いには予想もつかない結末を迎えるのである。ストーリーには奇妙な伏線がちらばっており、最後まで飽きさせない。説明的な部分がほとんどないのでさまざまな設定が見ている私たちの想像に委ねられるのもこの映画の面白みです。冒頭から不思議なテイストで引き込まれること間違いなしです。
●「セブン・デイズ・イン・ハバナ」(2012)
キューバ・ハバナを舞台に月曜日から日曜日までの色々な人たちのストーリーを描いていくオムニバス映画。監督には俳優として「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳 別れの手紙」でチェ・ゲバラ役を演じたベニチオ・デル・トロなど個性的な7名が参加している。映画ではキューバの素敵な音楽やダンス、文化に触れることができる。また今も残る旧市街の古くノスタルジックな雰囲気や巨大な高級ホテルやバーが立ち並ぶ新市街の二つの様相をもつハバナの魅力に引き込まれること間違いないです。愛と芸術と伝統に包まれたキューバの人々の生活は、めまぐるしい毎日を過ごす日本人がどこか忘れていることを思い起こさせてくれるかもしれません。いい心のお休みになりそうな映画です。
スペイン語圏の国というのは実はとてもたくさんあるんです。国の数だけ、映画の数もある。
今後もスペイン語圏の映画シーンからは目が離せません。