2016年に公開された『ブルックリン』はアカデミー賞の作品賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされた作品です。
1950年代にアイルランドからアメリカに移民でやってきた女の子の物語です。
移民できた女の子の苦悩や恋愛などを描いたストーリーですが映画を見ている中で1番目を引かれたのが鮮やかな洋服の色でした。
女の子が来ている緑のコート
映画はアイルランドで暮らしている20歳の女の子がアイルランドには仕事がないために、アメリカに行くというところからスタートします。
女の子がたどり着くのはニューヨークのブルックリンです。
ブルックリンでの生活になかなか馴染めない女の子なんですが、彼女はいつも緑のコートを着ています。その緑もコートが鮮やかで目を引かれてしまいます。しかも何度もそのコートを着たシーンは出てきますし、コート以外にも緑のカーディガンなどを羽織っています。
カーディガンはコートほどはっきりとした色ではないのですが、パステル系の色でこちらも目を引きます。
1950年代の洋服でもあるのですごく可愛い衣装なのですが、実はこの緑には意味があったのです。
彼女はアイルランドからブルックリンにやってきたのですが、アイルランドのカラーが緑なのです。
そう、彼女はアイルランドの事を忘れないように緑の洋服を着ていたのでした。
実際なかなかブルックリンの生活になじめず、クリスマスにボランティアで行った炊き出しの場所で、アイルランドからきた人達に会います。
そしてそこで歌われた母国の歌を聞いて彼女は涙します。
離れたところにいる家族や友人を思い涙していたのでした。
アメリカは移民が造った国だった
ホームシックにかかっていた彼女が元気を取り戻すことができたのは、ある日出逢った男性のおかげでした。
彼女はその彼と仲良くなっていきます。
そして次第に元気を取り戻していくのですが、その男性も家族でイタリアからきた移民の青年でした。
イタリア人もだいたい1900年頃にアメリカに渡ってきたと言われています。
主人公の女の子がボランティアで出会ったアイルランドの人達も50年前にアメリカにやってきた人達です。
そのシーンで神父さんが言ってます。
「彼らは50年前にアメリカにやってきて、道路や橋やビルを作った。」と。「今は仕事がなくなってホームレスだけど彼らがアメリカを作ったのだ」と。
このシーンはドキッとさせられるシーンでした。彼らがいたから今のアメリカがあるんだなと改めて知った気がします。
イタリア人もそうですが彼らがいたから現在アメリカという国が発展しているのだと気付かされました。
美しい映像の中にも歴史的背景を知ることができる深い映画が『ブルックリン』でその歴史をもっと勉強したいなとも思いました。