2018.11.16公開『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』短評

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評価 :3.5/5。

アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に麻薬・誘拐・人身売買・殺人などの暗黒のビジネスの実態を描きだしたドゥニ・ビルヌーヴ監督の2015年の『ボーダーライン』の続編。

監督はステファノ・ソッリマに代わったものの、脚本はティラー・シェリダンが前作から続投。テイラー・シェリダンは監督としても『ウィンドリバー』で注目を浴びたばかり。

メインキャストのジョシュ・ブローリンとベニチオ・デル・トロが同じ役で再登場している。

『ボーダーラインソルジャーズデイ』ストーリー

アメリカ合衆国カンザスのショッピングモールで自爆テロが起き多数のぎぜいしゃが出ます。

大勢の民間人が犠牲となったこの事件を受けて、アメリカ合衆国国土安全保障省は、テロ実行犯らがメキシコの麻薬カルテルの助けを得てアメリカに不法入国したという仮説を立てます。

中東に派遣されていたCIAの秘密工作員マットは本国に呼び戻されて、カルテル殲滅作戦を練ることに。マットはカルテルに家族を殺害されたコロンビアの元検事、アレハンドロと再び組むことを決めます。

カルテル同士の抗争を誘発するために、マットとアレハンドロは巨大カルテルのリーダーカルロスノ娘イサベルを拉致し、敵対する別のカルテルの仕業に見せかけます。テキサスでイサベルの救出劇を偽装した後、彼女をメキシコに連れ帰る途中、別のカルテルの息がかかっていたメキシコ連邦警察から奇襲攻撃を受け、壮絶な銃撃戦に展開。結果、アレハンドロとイザベルの二人は一隊から離れてしまいます。

アメリカに戻ったマットは、メキシコ政府がCIAの偽造工作を察知していること、カンザスでの自爆テロの実行犯はメキシコの麻薬カルテルとは無関係だったことを知らされます。メキシコとの関係悪化を恐れたアメリカ合衆国大統領は作戦の中止を決定。マットは国防長官からイサベルとアレハンドロの抹殺を命じられてしまいます・・・。

まとめ 麻薬カルテルと麻薬戦争

トランプ大統領がその公約の目玉の一つとして挙げたのが、アメリカとメキシコの国境に実際に物理的なコンクリートの壁を建てるというもの。

多くの人は批判を通り越して苦笑いを浮かべるばかりですが、その一方で、アメリカとメキシコの国境から流入してくる麻薬・不法入国者・武器・金はアメリカの国家的な問題でもあります。特に国境と接する南部は保守的な風土があって、国境問題に問題意識を持った人で、更に極端な感覚を持つ人はトランプさんに票を入れたりしています。

そんなアメリカの現状を描いた作品は多くありますハリソン・フォードのジャック・ライアンシリーズ第二弾『今、そこにある危機』のタイトルはその現状をそのまま言い表したタイトルになっていますね。近年の映画で言えば『ボーダーライン』のキャスト繋がりでいうとベニチオ・デル・トロがアカデミー助演男優賞を受賞し、監督のスティーブン・ソダーバーグもアカデミー賞を獲得した『トラフィック』は国境問題を描いた作品の中でも代表的な作品といっていいでしょう。同じようにコーエン兄弟がアカデミー賞を獲得した『ノ―カントリー』もあります。こちらにはジョシュ・ブローリンが出演しています。アカデミー賞繋がりで言うと『ハートロッカー』のアカデミー賞監督キャサリン・ビグローが製作総指揮した『カルテル・ランド』はドキュメンタリーということもあって、より一層きつい“リアル”を突き付けられます。ネットフリックスの『ナルコス』も同じカルテルの物語。

このようなハードな実情を見せつけられるとトランプさんを支持する人がいるのもわかる気がしてしまいます。

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村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年以上となった映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、に携わる一方で、個人でも各種記事の執筆、トークショーなどの活動も、。

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