2018.05.25公開『犬ヶ島』短評

犬ヶ島アイキャッチ

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『グランド・ブタペスト・ホテル』のウェス・アンダーソン監督が09年の『ファンタスティックMr.FOX』に続いてはなったストップモーションアニメ。

舞台は日本、しかも今までのハリウッド映画でよくある“サムライの世界の時代”や“極端な未来の世界”では“現代の日本”。ボイスキャストにも日本人キャストを多数起用している。

原案はウェス・アンダーソン組としておなじみのコッポラ家の従兄弟コンビ。ロマン・コッポラとジェイソン・シュワルツマン。

ストーリー

日本の地方都市“メガ崎市”ではドッグ病が蔓延し人間にも感染の可能性が…。

遥か先祖の昔から犬と因縁のある小林市長は飼い犬・野良犬の区別なく、ゴミ投棄用のゴミ島を“犬ヶ島”として犬の無差別追放を宣言。

その第一歩として自身の飼い犬・市長宅の警護犬スポッツを第一号追放犬として追放する。

数か月後、犬で溢れた犬ヶ島に市長の養子アタリ少年が操縦する飛行機が不時着する。

アタリ少年の前に遭わらわれたのは犬の五匹組のレックス、キング、ボス、デューク、チーフ。アタリ少年は自分の護衛犬だったスポッツを探しにやってきたのだった。

犬たちの窮状を知ったアタリ少年は小林市長に反旗を翻し犬たちの自由を取り戻す戦いに出ることを決意する。

一方、メガ崎市内でも犬擁護派の人々が声を挙げるように。

これを受けて市長はより強硬な手段に打って出ることに。

ウェス・アンダーソンに魅せられて集まった豪華ボイスキャスト

ボイスキャストの場合、通常の出演に比べると時間的な拘束が短いとはいえ、相変わらずウェス・アンダーソンの世界に魅せられた賞レースの常連ともいうべき面々が揃った。

メインの犬たちにリーヴ・シュレイバー、ブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、ボブ・バラバン、ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、スカーレット・ヨハンソン、F・マーリー・エイブラハム、ティルダ・スウィントンが揃った。

何が素晴らしいかというとストップモーションの犬たちがこの役者に似てみえることだ。

鑑賞前に是非、パンフレットでキャスティングを確認して思い浮かべながら映画を見て欲しい。通訳役で今年のオスカー女優フランシス・マクドーマントまで登場している。

日本リスペクトに溢れた日本字キャスト多数。

もう一つが多数起用された日本人キャスト。海外でも活躍する日本人・日系人キャストがそのまま日本語のセリフを使う。(使われる言葉と文字表記は日本語で英語字幕が入る)

主演のアタリ少年のランキン・交友少年の筆頭に本作の原案も担当した野村訓市に村上虹郎、RADWIMPSの野田洋次郎、そしてベテラン組からは渡辺謙と夏木マリ、さらにはあのオノ・ヨーコまで登場する。

街並みの様子にどこか中国の雰囲気が漂っていたり、日本の描写に確かに違和感もあるが、ここまでくると最早“邦画”といっていいだろう。

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kentaro-muramatsu

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村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年以上となった映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、に携わる一方で、個人でも各種記事の執筆、トークショーなどの活動も、。

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