これが私の人生だー「ニンフォマニアックvo.1/vol.2」(2013) 

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geralt / Pixabay

ニンフォマニアー色情症の女性型のことをこう言うことがあるそうです。この映画では、フランスの実力派女優シャルロット・ゲンズブール演じる主人公の女性・ジョーのニンフォマニアックな半生を語った映画です。これまでの女性の性欲に関する概念に一石を投じるような作品になっており、監督は「アンチクライスト」(2009)などこれまでもさまざまな問題作で有名なラース・フォン・トリアーです。ところどころ宗教と性を絡めて話が進んでいくところは、どこか主人公が神聖な話をしているようにも思えてきます。今作は、vol.1とvol.2の2作に分かれており、筆者なりにそれぞれタイトルをつけて、その内容を少しご紹介したいと思います。

●Vol.1:私が色情狂になるまで

お話の始まりは、雪の降る路地裏でジョーが孤独老人のステラン・スカルスガルド演じるセリグマンに助けられるところから始まる。セリグマンの家でジョーは自身の人生について語り始めるのであった。男性の性欲の強さについてはさまざまなところで語られるが、女性のそれはあまり認知されることがない。ジョーは幼い頃から性に興味をもち、その快感に目覚めるのである。思春期になり、自分の性欲の追求はさらにエスカレートしていく。働きはじめてからもさまざまな男性との行為に興味を持ち続けるが、ある日それまで封印してきた”異性との愛”という感情に気づき、ジョーに大きな変化を与えるのである。ここまでがVol.1のお話である。お話の中で若い頃のジョーはフランスの若手女優ステイシー・マーティンが演じています。これでもかというほどセックスシーンなどエロティックな場面が多く、彼女の女優魂に感心します。

●Vol.2:そして人生が変わっていく

恋愛という感情を一切省いてきたジョーにとって、その感情を抱きながらセックスを交わすことは人生にとって一大事だった。ちゃんとした結婚ではないが子供を授かったジョーだが彼女の性欲は止まらなかった。さらなる快楽を求めて育児を放棄するまでになってしまう。またその快楽の内容もどんどんハードなものになっていくのである。そして自分の快楽追求の末に大事な”家族”を失ってしまう。そしてそのあとも裏社会での仕事や裏切りなどさまざまな困難が降りかかり、結果として路地裏で倒れていた原因へと繋がっていくのである。最終的な結末は、あまりにも非情といえばそうですし、人間である以上避けては通れない道なのだと改めてヒトの性欲について考えさせられる内容です。

一貫して、宗教じみたような抒情詩的な雰囲気の漂う映画です。
個人的な映画の見所として、Vol.2で主人公・ジョーが最終的に色情狂である自分を受け入れ、それが”自分なのだ”と主張するところは、この映画の真髄をついているな、と感じた部分でもあります。善悪の話で言えば、誰が悪いということではなく、既成の固定概念に当てはまるものを良しとし、それ以外を悪とする考えが悪なんだ、と訴えかけるような映画です。ぜひ、一人で落ち着きたい夜などにご覧ください。

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