・原題=The Shape of Water ・上映時間=123分 ・制作=2017年 アメリカ
スタッフ
監督=ギレルモ・デル・トロ
遂にアカデミー賞まで撮ってしまいました。私『ミミック』以来の大ファンです。
脚本=ギレルモ・デル・トロ/ヴァネッサ・テイラー
今回は共同脚本者ありですね。
制作=ギレルモ・デル・トロ/J・マイルズ・デイル
J・マイルズ・デイルは、ギレルモ・デル・トロ監督とドラマシリーズ『ストレイン』でパートナーを組んでました。
撮影=ダン・ローストセン
『ミミック』『クリムゾン・ピーク』でギレルモ・デル・トロ監督とは組んでました。
編集=シドニー・ウォリンスキー
『ザ・ソプラノズ』で、エミー賞にノミネートされてます。
音楽=アレクサンドル・デスプラ
『グランド・ブダペスト・ホテル』でアカデミー賞を受賞。音楽良かったですね。
キャスト
イライザ・エスポジート=サリー・ホーキンス
主人公。政府の研究所で清掃員をしている聾唖の女性。
不思議な生きもの=ダグ・ジョーンズ
所謂半魚人。『ヘルボーイ』のエイブに続いてダグ・ジョーンズが演じてます。音楽に反応するのはラゴンが元ネタ?
ジャイルズ=リチャード・ジェンキンス
イライザの友人。ゲイを隠しながら生きている。
ストリックランド=マイケル・シャノン
マジョリティ代表。いかにもなアメリカ白人男性。
ロバート・ホフステトラー博士=マイケル・スタールバーグ
ロシアのスパイ。でもいい人。
ゼルダ=オクタヴィア・スペンサー
イライザと一緒に清掃員として働く黒人女性。
あらすじ・感想
あらすじ
1962年、アメリカ。政府の極秘研究所に勤めるイライザは、秘かに運び込まれた不思議な生きものを見てしまう。アマゾンの奥地で神のように崇められていたという“彼”の奇妙だが、どこか魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。子供の頃のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。音楽とダンスに手話、そして熱い眼差しで二人の心が通い始めた時、イライザは“彼”が間もなく国家の威信をかけた実験の犠牲になると知る─。
シェイプ・オブ・ウォーター 公式サイトより
感想
遂にアカデミー賞、作品賞、監督賞を撮ってしまった、ギレルモ・デル・トロ監督の最新作。前作、『クリムゾン・ピーク』は、美術は素晴らしかったのですが少女マンガチックなノリに正直あまり乗れなかったのですが、今回は、『デビルズ・バックボーン』や『パンズ・ラビリンス』といったスペインで製作した純度100%のデル・トロ映画の系譜でバッチリ自分の好みにマッチしました。
ユニバーサルの古典『大アマゾンの半魚人』、『人魚姫』や『美女と野獣』を下敷きに聾唖の女性イライザと実験台として研究施設に連れてこられた半魚人との恋愛がストーリーのメイン。そこにイライザの友人であるゲイの男性ジャイルズ、黒人女性のゼルダ、ロシア人であるホフステトラー博士など世間に虐げられてきた人たちが一致団結して、半魚人を救う為に、権力者の象徴であるストリッグランドと戦っていくというテーマ的には、いつものデル・トロ監督作品なんですが、今回はそのテーマがこれでもかというくらいにわかり易く描かれてます。このわかり易さが、今の世相にマッチしてアカデミー賞受賞の後押しになった気がします。
ただ、逆に明確にやりすぎてしまったせいで話に深みが無くなってる気がしなくもないです。
まあ、ストーリーは置いておいて、美術面での素晴らしさは流石デル・トロ監督。クリーチャー造形も画作りも本当に美しく、今回は水を意識してかカメラワークも常にユラユラ揺れているのですが、それも全く不快ではなく音楽の素晴らしさも相まって心地よさを感じるくらいです。
ただ、これもデル・トロ監督映画の特徴ですが残酷描写にも容赦は無いので、苦手な人には、ちょっとキツい部分があるかもしれません。まあR15指定なので、見に行く人達も年齢が高めなので大丈夫かと思いますが。あと、R18をR15にする為に修正した部分は正直どうでもよくて笑いました。
それにしても、昔から思ってるのですがデル・トロ監督って少女っぽいロマンチックな感覚の持ち主だなと今回も思ってしまいました。
個人的には『パンズ・ラビリンス』や『デビルズ・バックボーン』を超えたとは言い難いのですが、クリーチャー映画に新しい1ページを付け加えた映画だという事は確実だと思いますので、そういう映画が好きな方は是非ご覧になってください。