原題=The VVITCH 上映時間=93分 製作=2015年 アメリカ・カナダ
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ウィッチ(2015)
原題 : vvitch 製作年 : 2015 製作国 : アメリカ・カナダ 上映時間 : 93分 監督 : ロバート・エガース 脚本 : ロバート・エガース アニヤ・テイラー=ジョイ [トマシン]
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スタッフ
監督・脚本=ロバート・エガース
いくつかの短編で美術、美術監督、監督を務め、今回が長編デビュー作となる。サンダンス映画祭でいきなり監督賞を受賞、その他にも多くの新人監督賞、初監督作品賞、最優秀作品賞を受賞。本作でその圧倒的な才能が認められ、ホラー映画史に残る『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)のリメイクの監督に大抜擢されている。「The Tell-Tale Heart」 (2008) 他
(C) 2017. Interfilm Co.Ltd『ウィッチ』公式サイトより
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その他スタッフ
製作=ジェイ・バン・ホイ、ラース・カスダン、ジョディ・レイモンド、ダニエル・ベッカーマン
撮影=ジェイリン・ブラシケ
音楽=マーク・コーヴェン
キャスト
アニヤ・テイラー=ジョイ / トマシン
本作の主人公。とても家族思いで働き者の女の子だけれども、家族から魔女の疑いをかけられる…。
ラルフ・アイネソン / ウィリアム
厳格な清教徒である一家の主人。かなり身勝手な性格。
ケイト・ディッキー / キャサリン
ウィリアムの妻。トマシンに対して辛く当たる事が多い。
その他キャスト
ハービー・スリムショウ / ケイレブ
エリー・グレーンジャー / マーシー
ルーカス・ドーソン / ジョナス
あらすじ・感想
あらすじ
舞台はセイラム魔女裁判でも有名な、17世紀のニューイングランド。イギリスからアメリカへ移住してきたウィリアムとその妻キャサリンと子供達は、厳格な清教徒である父と村人との関係の行き違いにより、村を離れて森の近くでの荒地での生活を送ることになる。ある日、トマシンが末っ子のサムの面倒を見ている時に忽然と姿を消してしまう。それからも不可思議な現象が家族を襲い、やがて家族皆がトマシンを魔女ではないかと疑い始める…。
感想・ネタバレ含む
さて、先日見た『ジェーン・ドウの解剖』でも言及されていたニュー・イングランド。アメリカで魔女と言えば有名なセイラム魔女裁判のあった土地が、この映画の舞台なのですが、まずとても素晴らしいのは、ビジュアルが作り出す雰囲気。相当なこだわりを持って作られたと思われるその世界は、見ているこちらを当時のその場所に連れていかれる感覚を覚えます。特に森の中、夜の闇といった全体的な暗さ。何せ鬱蒼と茂った森に入ると、何がいるのだろうと本当に目を凝らして見る事になり、動く物があるとあれは何なのだろうと不気味な気分になってきます。パンフレットの記載によると、家屋や小物、更には明るさに至るまで可能な限り当時を再現したとの事でした。制作側のその拘りは見事に成功していると感じました。
また不穏な空気を醸し出す音楽の効果も大いに貢献しています。
冒頭父親であるウィリアムは村人と言い争いになり村を出る事になります。原因はわかりませんが、キリスト教の戒律に対する見解で争っているのではないかと予想されます。とにかく、このウィリアムは身勝手な男で家族の事も顧みず、後の事も考えない。一番大事なのは戒律だといった感じで、基本家族全員この男に振り回されます。
アニヤ・テイラー=ジョイ演じるトマシンは、子供と大人の間になる年頃、体つきも色っぽくなってきて、弟のケイレブはどうやら女として意識してしまっている様子。また、母親であるキャサリンは、女になったトマシンに対して嫉妬心を抱いてると思われ、弟や父親を取られるのではとトマシンに対して辛く当たります。ジョナスとマーシーは、甘やかされているようで言う事を基本聞きません。そんな抑圧された生活の中トマシンがお守りをしていたサムが突然姿を消します。家族はサムを探しますが、結局見つかりません。その後も次々と怪現象が起こり、原因はトマシンが魔女なのではと疑い始めるのですが、結局最後までトマシンが魔女であるかどうかという真相はわかりません。
ただ、所々これはトマシンが見ている幻覚なのではと取れる部分が多くあり、しかし、それだけでは説明出来ない部分もある為、どっちなのこれは?なんて気分になりますが、この映画で重要なのは真相がどうあるかではないと思います。その当時の人が、どういう空気、世界で生きてきたかという事を感じとるという事が重要なのではないかと思います。きっと、その当時の人は魔女を本気で信じていたし、それが原因で起こった悲劇もあったという事です。この空気感を観客である自分にも味あわせてくれたこの映画は素晴らしいと思います。
色々な物に抑圧された生活を強いられていたトマシンは、最後に全てに解放され映画は終わります。果たしてそれは、トマシンが見た幻覚なのか現実なのか、それは別にどうでもいいのではないでしょうか。最後に彼女の魂は救われて終わったと考えれば、これは悲劇でもありハッピーエンドでもあると言えるのではないでしょうか。