オリジナルに近いテイストになっているが・・ - 『ザ・リング/リバース』レビュー

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Jホラーの一大ブランド“リング”シリーズのハリウッドリメイク版第三弾。

過去2作はナオミ・ワッツが主演して完全につながりのある物語だったが、今作は過去2作と直接的な繋がりのない話となっている。

オリジナルの“貞子”に当たる呪いの根源となる少女“サマラ”だけは引き続き登場する。

『リング2』からの製作スパンをそのまま取り込んで、呪いのビデオの存在は半ば都市伝説的な存在となっているという設定。

この辺りは同じように映画製作スパンをそのまま利用して都市伝説上の存在として描いた日本版シリーズの『貞子3D』『貞子3D2』と同じような作りになっている。

テイストとしてキャスティングなどに引っ張られない作りになっている分、原作小説のテイストに近い部分も感じられる。

〈ストーリー〉

とある、飛行機の中で呪いのビデオを見たと話していた人間が怪死する。あのサマラのビデオの呪いは終わっていないのか…?

それから数年後遠距離恋愛中のジュリアはボーイフレンドのホルトと連絡が取れないことに不安を感じ彼の大学を訪ねる。

彼の受講していた講義を担当していたガブリエルは知っているはずのホルトの存在を知らないといってジュリアを突き放す。

挙動不審なガブリエルの後を追うとそこには大量にコピーされた呪いのビデオ。そして呪いを避けるためにビデオを見せて救い合う学生とそれを統率するガブリエルの姿があった。

そして、ジュリアもビデオを見てしまう。ところがなぜかジュリアの見たビデオデータはコピーすることができずジュリアの呪いの期日が迫る。

さらにジュリアの見た映像にはそれまでビデオになかった映像が新たに加えられていた。

呪いを解くにはビデオのコピーなどではなく呪いの根源に挑まなくていけないと覚悟を決めたジュリアとホルトはかつてサマラが生まれ育った町へと向かう。

そして盲目の老人バークが悲劇と悲しみの始まりを語り始める。

〈Jホラーがハリウッドでどうなっていったか?〉

90年代末から一大ブームとなったJホラー。その代名詞的存在が中田秀夫監督の『リング』。

本作の大ヒットを受けて『呪怨』『着信アリ』などヒット作・話題作が続いた。

そしてその勢いは海を渡った先でも注目を浴びるようになった。

そんな中で後に『パイレーツ・オブ・カリビアン』を撮ることになるゴア・ヴァービンスキーがメガホンをとった『ザ・リング』が製作されこれが大ヒットを記録。オリジナルの監督中田監督による『ザ・リング2』、リメイク第一作からオリジナル監督の清水崇監督を招聘した『THEJUON』などが全米興行収入週間ランキングで1位を記録すると一気にJホラーリメイクブームが起きた。その後『仄暗い水の底から』からが『ダーク・ウォーター』、『着信アリ』が『ワン・ミス・コール』、『回路』が『パルス』としてリメイクされました。

日本のブームと同じで徐々に粗製乱造気味になって座組が小ぶりになってしまったのは残念ですが日本映画人の存在を世界市場でアピールすることができました。

『THEJUON』も劇場公開は2作目までですがその後もシリーズは続いています。

そんな中で『ザ・リング/リバース』が公開されました。

日本でも『貞子VS伽椰子』などの大型企画が始まったりして、日本でもホラー映画が上昇気流に乗り始めました。日米で再びJホラーが復活するのか?果たして?

《総評》

本当のオリジナルから考えるとハリウッド版の中では一番ストレートな映画化作品。ただし、日本版のリングシリーズの存在にいろいろと足を引っ張られているところも。



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kentaro-muramatsu

村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年以上となった映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、に携わる一方で、個人でも各種記事の執筆、トークショーなどの活動も、。

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