公式サイト
・原題=Blade Runner 2049 ・上映時間=163分 ・制作=2017年 アメリカ
スタッフ
監督=ドゥニ・ヴィルヌーヴ
近年、最も注目が集まっている監督の一人。個人的には『メッセージ』メッチャ好き。次は何と『デューン・砂の惑星』の再映画化らしい。スゲぇ!
脚本=ハンプトン・ファンチャー、マイケル・グリーン
今回は、ハンプトン・ファンチャーは脚本にどこまで関わってたのかなぁ。
制作=アンドリュー・A・コソーヴ、バッド・ヨーキン、ブロデリック・ジョンソン、シンシア・サイクス・ヨーキン
撮影=ロジャー・ディーキンス
さすがの美しさでした。
編集=ジョー・ウォーカー
『メッセージ』や『ボーダーライン』でヴィルヌーヴ監督とは仕事をしてます。
音楽=ハンス・ジマー、ベンジャミン・ウォルフィッシュ
残念ながらヴァンゲリスではない。
キャスト
K=ライアン・ゴズリング
この映画の主人公。新型のレプリカント。石森章太郎先生のロボット刑事は関係ない。
リック・デッカード=ハリソン・フォード
おなじみデッカード。出てくれて良かった。ハリソン・フォードは歳取って丸くなったと思います。昔はブレードランナーの事嫌ってましたよね?あと何で養蜂してたの?
ジョイ=アナ・デ・アルマス
AI、iPhoneのSiriみたいな感じ。電話がかかると止まります。
ラヴ=シルヴィア・フークス
レプリカント。怖いお姉さん。
ニアンダー・ウォレス=ジャレッド・レト
タイレル社亡き後、レプリカント製造をしてるウォレス社の社長。いちいち言葉が回りくどい。
ジョシ(マダム)=ロビン・ライト
Kの上司。真面目な人。
アナ・ステライン=カーラ・ジュリ
記憶創造のスペシャリスト。
ガフ
出番少なすぎ。
あらすじ・感想
あらすじ
2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。人間と見分けのつかない《レプリカント》が労働力として製造され、人間社会と危うい共存関係を保っていた。危険な《レプリカント》を取り締まる捜査官は《ブレードランナー》と呼ばれ、2つの社会の均衡と秩序を守っていた―。
© 2017 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.『ブレードランナー2049』公式サイトより
感想・ネタバレ
全世界のブレードランナーファン待望なのかどうかは、人によって違うでしょうから、それはどうかわからないですが、正式な続編と言われれば見なきゃ!と思った人達が世界中にいたことは間違いない、前作の世界から30年、現実世界では35年経って作られた正当続編。近年、『マッドマックス』『スター・ウォーズ』『エイリアン』と来て、まさかのブレードランナーの続編と続いて、いったい今はいつの時代なのかと感じずにはいられません。
そして、見に行った人達の大半が、俺が想像してた物と違う!と感じたのは確かだと思います。確かに画面がキレイで芸術的なのですが、こぎれい過ぎるのではないか?特にウォレス社の中なんて美術館を見てるみたいで、何か違う感じがしたものでした。
前作のような圧倒的なビジュアルは無い、ヴァンゲリスの音楽も無い、ロイ・バッティのようなカリスマ性のある悪役もいない、レプリカントもそんなに悩んでるようにも見えない。じゃあ、一体何があるのか?
それは、主人公Kというキャラクターの魅力ではないでしょうか。Kは、職務に忠実なレプリカントのブレードランナー。人間達には人もどきと蔑まれ、同類であるレプリカントを狩るというどっちつかずのキャラクターです。
そんなKの心を慰めてくれるのは、AIであるJoi。このJoiは、特別な物ではなく汎用の市販品のAIで、確かに高機能なのですが、今の現実のAIの進化っぷりを見てるとそんなに非現実的な物でもありません。
ある日、旧型レプリカントのサッパー・モートンを解任したKは、報酬をもらい自宅に帰ります。帰り道、人間達に罵られながら家に帰ると待っていたのかJoi、KはJoiと恋人ごっこを始めます。そして、報酬として得た物はJoiを携帯出来る端末でした。ここで、まず泣けてきます。なんなんだ、この悲しい男は、そしておそらくKは喜んで外へ連れ出したのでしょう。雨の中、外でJoiとまたもや恋人ごっこを始めますが、その最中、上司であるマダムから通信が入ります。なんとJoiは、通信が入ると停まってしまい通信の方が優先されてしまうのです。うわーSiriだよコイツと思いました。
呼び出されていったKは、サッパー・モートンの農場から発見された女性の骨を見せられるのですが、どうやら子供を産んだらしいという事がわかります。そして、その骨がレプリカントの骨だという事もわかります。すわ、これは大変とマダムは全ての証拠隠滅をKに命じます。正直、これの何が大変なのかはよくわかりませんが、世界が覆るとマダムは大慌て。Kは、その任務をこなそうとするのですが、所々でJoiを起動させては恋人ごっこです。挙げ句の果てには、生身の女には興味ないのねとまで言われてしまう始末。3次元の女は怖いってか。
そんなこんなで調査を続けていると、レプリカントが産んだ子供がある孤児院にいたのではという疑惑が浮かび、Kは、その孤児院にポリススピナーで向かいます。助手席にJoiを座らせるK。危険だからベルトを閉めるようにJoiに言うK。いやいやホログラムですから。悲しいぞK。
向かった孤児院では、Kはいつも見ている夢と同じ光景に出くわします。ま、まさか俺は昔ここにいたのでは?と、夢の中で隠した木造りの馬を探すと、あ、あった…。俺は、ここに居た事があるのか…。と自分が運命の子ではないかと疑い始めます。
そして、その記憶が本物かどうかを確かめる為にレプリカント記憶想像のスペシャリスト、アナ博士の所へ向かいます。アナ博士がKの記憶を見た所、確かに存在した記憶だと告げられます。や、やっぱり俺はスペシャルなレプリカントだったのかと思い始めるK。
そして、Joiは、あなたは特別なんだから名前がいるわとジョーという名前をKに付けてくれます。
完全に自分が特別な存在だと信じてしまったK。娼婦のお姉さんの力を借りて愛しのJoiたんとの疑似エッチも済ませました。
昔の凄腕のブレードランナー、デッカードは俺の親父と思ったKは親父捜しに出かけます。この辺りはダース・ベイダーは俺のお爺ちゃんとか言ってたカイロ・レンと被る所があります。同じく父親はハリソン・フォードですし。
そして、Kは遂にラスベガスで養蜂しているデッカードを探し出したのでした。もう、この間はKのデッカードに対する、お父さん!感が一杯出てて好感が持てます。名前はと聞かれてジョーとか名乗っちゃうし。しかし、ラヴによって居場所がバレてしまったKとデッカードは、襲撃にあいデッカードを攫われてしまいます。それと同時に何と愛しのJoiをラヴによって破壊されてしまうのでした。家のデータを破壊してバックアップのないJoiは完全に消えてしまいました。親父も連れ去られ、恋人であるはずのJoiも破壊されもう心が折れそうなK。そこに、Kに発信器をしこんでいた娼婦のマリエッティが現れ、Kを助け出しました。マリエッティは、旧型レプリカントで、人間に反抗するレジスタンスの一員でした。
レジスタンスのアジトに連れてこられたK。そこで驚愕の事実を知らされます。何と、デッカードとレイチェルの間に生まれた子供は女の子だったと告げられます。えーーー、じゃあ俺は?そこでレジスタンスのリーダー、フレイザは言います。誰でも特別になりたいのよ。ひ、酷い。そしてフレイザはKにデッカードの殺害を依頼します。「大義のための死は何よりも人間らしい」と言葉を伝えて。
何もかもをなくして、デッカードの殺害の依頼を受けてウォレス社に向かうK。ここは、めちゃくちゃ寂しくていいです。その途中ついでに、ジョーという名前ですら汎用AIがプログラムで考えた物に過ぎなかった事もわかり、更に追い打ちをかけますが、最早ふーんくらいの感じになっているK。か、悲しい。
デッカードがスピナーに乗せられて運ばれている所を襲撃するK。すったもんだがあってラヴを打ち倒し、デッカードを救い出します。その時、Kも大きく傷ついており、満身創痍でした。本当の娘であるアナ博士の元へデッカードを送り届けるK、父親だと思ってたけど違ったデッカードに「俺は君にとってどんな存在なんだ?」と訪ねます。その時、Kはデッカードに笑って見せます。無事親子の再会を果たすデッカードとアナ。そして、Kは、2人の為にやりとげてフレイザの言った人間らしい死を迎えるのです。
このラストが本当に泣けます。前作のデッカードやロイ・バッティのような所謂リア充ではない、オタクキャラのKがライアン・ゴズリングの表情と合わさって悲しさ5倍増しです。見てて眠くなるという話もよく聞きますが、Kの物語として見てると本当に泣けていい映画だと私は思います。