美への追求 ー「ヘルタースケルター」(2012)

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評価【アジムラユイ】

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(C) 2012 映画『ヘルタースケルター』製作委員会

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ヘルタースケルター(2012)

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スタッフ

監督

蜷川実花

脚本

金子ありさ

その他スタッフ

原作=岡崎京子
製作=宇田充、甘木モリオ
撮影=相馬大輔
編集=森下博昭
音楽=上野耕路

キャスト

りりこ / 沢尻エリカ
浅田誠 / 大森南朋
羽田美知子 / 寺島しのぶ
奥村伸一 / 綾野剛
吉川こずえ / 水原希子

あらすじ・感想

女性による、女性のための日本映画

「ヘルタースケルター」(2012)はそんな映画の代表作とも言えるだろう。
監督は言わずと知れた日本を代表する女流写真家の蜷川実花。主人公リリコ役を演じるのは、一時期の清純なイメージを拭い去った沢尻エリカ。この時点でなんとも高い美意識がプンプン漂ってくるようである。

多様な美しさの集約

劇中からは終始、ニナガワワールド全開のカラフルで不思議な雰囲気と衣装や小道具、セットの細部まで凝っている完璧な美意識が伝わってくる。1つ1つのシーンは切り取れば素敵な彼女の写真作品にもなりそうである。しかし映像でみる彼女のカラフルでド派手な世界観は、なんだかとてもギラギラしていてカオス、そして目まぐるしいのである。そして主題歌は浜崎あゆみさんの「evolution」で映画のスピード感と雰囲気を手助けしている。美的センスというものは女性によって様々で、”こんな世界観は美しくない!”と思う人も多くいるはず。しかし筆者はそれらすべての美しさの価値観をごちゃまぜにしたのが今作の大事な雰囲気づくり、ストーリーに欠かせない種になっているのではないかと思うのです。ファッションなどの表面的な部分から多様性が広がっている現代の10~20代の日本人女子たちの脳内をミックスしたら、たまたまニナガワワールドに繋がった、なんて具合なんじゃないでしょうか。

美しさへの欲望

ストーリーは、トップスターの階段を昇りつめ、若い女の子から絶大な人気を誇る全身整形のリリコが美への欲望と現実に押しつぶされトップの座から転落していく様を描いている。飽くなきリリコの美しさへの執着心は、もはやモンスターでありタイトル通り自分の全てをすっちゃかめっちゃかにしていく。その執着心の裏には、世間から忘れられ、誰からも必要とされなくなることへの恐怖心が隠れている。自分の美しさだけで周りの人々と繋がっていると信じ込むリリコは整形が崩壊していく身体とともにその恐怖に飲み込まれていくのである。しかし映画の終盤、もう施しようもないほど朽ちた自分の体と世間体に開き直るリリコは強く清々しく生まれ変わる。映画のラスト大森南朋扮する検事の麻田の”美しさは若さではないよ。美はもっと深くて複雑であらゆるものを豊かにふくんでいる”という言葉の意味を最後に体現しているようでもある。おしゃれな服も美容整形も若い女の子たちが簡単に手に入れることができる現代、リリコほどの執着心を持って自身の美しさのために奮闘する人はそんなに珍しくもないはず。そんな女子たちにもこの言葉を伝えたくなった。

本当の”美”とは

今作について映画全体の雰囲気と内容について言及してみたが、結局のところこの映画はリリコの生き様を中心に現代日本人女子たちのあくなき美意識への探求とそこに潜む闇や矛盾を私たちに伝えているように思う。さらにその探求の先に何があろうと強く生きることを教えてくれるようでもある。全ての女性たちにとっていつまでも美しくあることは、誰のためでもない永遠のテーマなのである。そして本当の美しさはその過程にあるのではないか、と今作をみて思うのである。

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