2018/01/26公開・キャサリン・ビグロー監督最新作『デトロイト』レビュー

デトロイト

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デトロイト
デトロイト(2017)

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『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャサリン・ビグロー監督の最新作。1967年に実際に起きた43人の試写を起こした黒人差別に端を発したデトロイト大暴動の最中に起きたデトロイト市警の警察官による黒人による暴力寺家“アルジェモーテル事件”を克明に描いた衝撃作。アメリカ国内の人種差別問題が改めて注目を浴びるようになった中、 事件から50年後に事件を正面からとらえた作品が登場した。

特に“存在しない狙撃犯”を見つけるため人権を無視した尋問を描いた40分はその場に居合わせたかのような痛みを感じさせる。

ストーリー

1967年7月、違法酒場の摘発を行ったデトロイト市警に対して、地元住民が投石を始めた。こうして始まった暴動はどんどん規模を拡大し、ついに略奪や銃撃戦が発生するに至った。のちにデトロイト大暴動とまとめて語られる一大事件が始まる。

デトロイト市当局と市警察では到底対処できない規模の暴動であったため、州兵まで投入された。そんな中で捜査官の一人が規則に反して男性を銃撃する事件が勃発。暴動はいよいよ戦争と表現さるほどに拡大化・過激化していた。

その頃、地元デトロイトの黒人によって結成されたバンド、ザ・ドラマティックスがデトロイトを訪れていた。音楽堂でのライブ・パフォーマンスが行われる直前に、警察によって音楽堂のある通りを封鎖され、バンドメンバーにデトロイトから退去するように命じられた。彼らはバスでデトロイトを離れようとしたが、道中、暴徒化した市民にバスが襲撃されてメンバーは市内のアルジェモーテルに一泊することになった。

バンドメンバーの一人が悪ふざけで、警官隊がいる方向に向かって数発の空砲を撃ち込んだ。「ちょっと怖がらせてやろう」くらいの安易な気持ちで発砲したが、警官隊はそれを狙撃手による攻撃だと勘違いしてしまい。アルジェモーテルにその狙撃手がいると確信した警官隊はモーテルに乗り込む。そしてアルジェモーテル事件と呼ばれる悪夢の一夜が始まる。モーテルの近くの食料品店の警備員メルヴィンこの事件に巻き込まれていくことになる・・・・。

犯罪と荒廃の町“デトロイト”

デトロイトといえばかつてはアメリカの基幹産業の一つ自動車産業の中心地であったものの、自動車産業とあまりにも密接に成り立ちすぎたために自動車産業が斜陽に入ると一気に州単位で傾き、犯罪と荒廃の代名詞的な都市となった。

この映画『デトロイト』はちょうどの傾き始めた頃に起きた実際に事件を描いている。

この後、デトロイトは失業率・貧困率が高くになり、やがて犯罪多発地帯となっていった。

映画『ビバリーヒルズ・コップ』でエディ・マーフィーが演じた刑事も刑事になるか小悪党なるかの境界線上にいるキャラクター。

製作当時から見た近未来のデトロイト描いた『ロボコップ』シリーズではデトロイト州が事実上破綻していいて警察権が民間に移譲された設定。

ラッパーエミネムの自伝的映画『8mile』で主人公が貧困にあえぐ街もデトロイトだ。

都市部ですら廃れていることもあって、郊外となると『ドント・ブリーズ』のような世界観になってしまう。

本作はまさしくそのデトロイトの“悪しきパブリックイメージ”の発端となった事件の物語。

スター映画というよりは将来性豊かな若手俳優のアンサンブル映画といった座組。その中で黒人側と白人側の象徴的な存在を演じたのがジョン・ボイエガとウィル・ポールター。ジョン・ボイエガといえばスター・ウォーズ新三部作でメインキャストの一人フィンを演じて一気に世界的に認知された若手黒人スター。さらに遡ると11年の『アタック・ザ・ブロック』ではエイリアンに対抗する不良グループのリーダーをカリスマ性たっぷりに演じている。『パシフィック・リム』の続編にも出演が決まり若手黒人俳優がいよいよ映画スターの階段を上り始めた。

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kentaro-muramatsu

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村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年以上となった映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、に携わる一方で、個人でも各種記事の執筆、トークショーなどの活動も、。

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