『15時17分、パリ行き』寸評

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【村松健太郎】

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ハリウッドのリビングレジェンド=いける伝説クリント・イーストウッド監督の最新作

ヨーロッパで2015年に実際に起きた高速鉄道銃乱射テテロ、通称“タリス銃乱射事件”を映画化。偶然列車に乗り合わせた3人のアメリカ人青年がこの犯人を取り押さえたという出来事をそこに至るまでの3人のアメリカ人青年の人生を幼少のころから、3人の出会いを経て事件に至る日々の姿を追い始める物語構成になっている。驚くべきは物語の主人公というべきその3人を当の本人に演じさせている。

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〈ストーリー〉

スペンサー・ストーン、アレク・スカトラトス、アンソニー・サドラーの3人は学生時代からの友人で、スペンサーとアレクは軍人として働いている。海外に派遣されていたスペンサーとアレクは連絡を取り合い、近くの休暇を利用してヨーロッパ旅行を計画する。

まだ、大学で学んでいるアンソニーにも声をかけた。

行先はオランダ・アムステルダム。ヨーロッパでひと時、日々の生活を忘れ観光を満喫する3人、そして15時17分発パリ行きの高速鉄道に乗り込む。

その列車の乗客の中には銃を手にしたイスラム国(IS)に感化されたテロリストが紛れ込んでいた…。

イーストウッド映画の芯だけを追い求める。

今だ年に一本前後のペースで監督作を発表し続けるクリント・イーストウッド。御年87歳。特にこの10年間実話の映画化が多く、完全なフィクションは『グラン・トリノ』と『ヒア・アフター』ぐらいで、後は実話ものまたは伝記ものばかり。

そういうと、創造力が減ってきたのかというような言われ方をされそうなものだが、そういう意見は聞こえてきません。

それは実話の映画化にも限らず非常にどの作品も創造性に富んだ映画としてみることができるからといっていいでしょう。

イーストウッドは映画作りから物語をゼロベースで作り始めなくても映画を創りこむことができると感覚的にわかるようになったのでしょう。

そんなイーストウッドがさらに一歩踏み込んだ作り方をしたのがこの『15時17分、パリ行き』実際にアムステルダム発パリ行きの高速鉄道の中で起きた銃乱射事件を元にした映画であり、さらに偶然居合わせて犯人を取り押さえた主人公三人を実際の本人に演じさせている。

再現映像と切って捨てるのは簡単ですが、これはイーストウッドがいよいよ映画の物語を作ることを削り、さらに俳優のキャスティング、キャラクターの肉付けを削ってもなお“映画としても足りうるか”という究極的なレベルの問いに挑んだといったほうが的確でしょう。イーストウッドのは映画から削り取れるものが徹底的に削り、映画の“芯”の分だけを追い求めるという映画作家として神の領域に足を踏み込んだというべきなのかもしれません。次回作は今のところプロデューサーとして『スター誕生』のリメイクがアナウンスされている。これで4度目のリメイク。果たしてイーストウッドは4度目の題材をいかに捌くのでしょうか?

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Kentaro-Muramatsu

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村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年以上となった映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、に携わる一方で、個人でも各種記事の執筆、トークショーなどの活動も、。

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